はじめに:なぜブランドの裏側を公開するのか?
多くの方にご利用いただいている当ブランドですが、その誕生には数え切れない試行錯誤と工夫がありました。本記事では、AIとクリエイティブの融合から生まれたブランドの裏側をご紹介します。
この記事を読むと、次のことが分かります:
- 制作のプロセスと使用ツール
- 困難をどう乗り越えたか
- ブランドに込めた想いと設計思想
- 今後の展望
ブランド立ち上げの背景

発案のきっかけ
当初は、オリジナルのMergeモデルを制作・公開し、独自のキャラクター表現を展開していく構想を描いていました。しかし、複数のモデルを組み合わせて作るMergeモデルは、その元になった各モデルのライセンスが複雑に絡み合い、商用利用や配布における明確な許諾を得ることが非常に難しいという課題に直面しました。
長期間にわたって検証や調査を重ねましたが、最終的には安心して提供できる形にまで整えることができず、一度プロジェクトの方向性を見直すことに。
そんな中でたどり着いたのが、「背景素材」という選択肢でした。AIによる背景生成であれば、ライセンス的にクリーンな環境を整えたうえで、創作活動を支援できるだけの価値を提供できると確信できたからです。
ターゲット層の決定
当サイトでは、以下のような創作活動に背景素材を必要とするクリエイター層を主なターゲットとしています:
- オンラインでTRPGを楽しむユーザー
- セッション中の雰囲気づくりやマップ演出のために、視覚的に魅力ある背景が求められます。
- ゲーム制作者
- インディーゲームやノベルゲームなど、自作タイトルに使用できる汎用性の高い背景素材を探している方。
- デザイナー
- プレゼン資料やビジュアル制作、UI/UXのモックアップなど、さまざまな制作場面で活用できるビジュアル素材を必要とする方。
- Youtuber / 動画制作者
- ゲーム実況や朗読動画、企画系コンテンツなどにおいて、映像の世界観を強化する背景を探している方。
これらは他の多くの素材サイトでも見られる層ですが、当サイトが特徴としているのは、「美麗で空気感のある背景素材」に特化している点です。
光の差し込み方、遠近感、色彩のグラデーションなど、一枚の背景に“情景”や“物語の余白”を込めることを大切にしています。単なるイラスト素材ではなく、「その世界に入りたくなる」ような没入感のある背景を求めるユーザーに向けて提供しています。
初期コンセプトとその変遷
当初は「美」「エロス」「光」「闇」の4つをテーマに据えたオリジナルのMergeモデルをローンチする構想からスタートしました。作品全体に一貫した美学を持たせることを目指し、背景素材の制作にもその世界観が強く反映されています。
しかし制作を進めていく中で、ひとつの大きな方向転換に至ります。それは、「風景としての美しさ」ではなく、「背景として成立する美しさ」の追求へと軸足を移したことです。
多くの背景素材配布サイトでは、背景そのものの見栄えを引き立てるために、コントラストや彩度を強調する傾向があります。確かに、それは単体で見た時に美しく、目を引く仕上がりになります。しかし、そうした“映え”を重視した素材は、いざ文字やキャラクターを配置したとき、主役であるはずの要素と背景がぶつかり合い、作品全体のバランスを崩してしまうことがあります。
特にTRPGや動画制作のように、ユーザーが素材を加工せず「そのまま」使うケースでは、この違和感は致命的です。
そこで当サイトでは、背景として完成された“美”を提供することに注力しています。風景の美しさや空気感は残しつつも、前景のキャラクターやテキストが自然に馴染み、主題がしっかりと映えるよう設計されています。
単体で目立つことを目的とした“風景”ではなく、作品全体を引き立てる“背景”としてのあり方。この考え方こそが、私たちの素材づくりの核となっています。
使用ツール・制作環境

使用モデル:Animagine XLシリーズ
Animagine XLは、アニメ調のイラスト生成に特化した高品質なAIモデルです。Stable Diffusion XL(SDXL)ベースで開発されており、従来のモデルに比べて、より高解像度で細部まで描き込まれた出力が可能です。
特に注目すべき点は、以下の3つです:
- 鮮明な線画と滑らかな彩色
キャラクターの輪郭や髪の表現、背景の描き込みなど、アニメ調イラストで重視される要素を高水準で再現できます。 - アニメ・ゲームに適した画風
デフォルメ感やカラーバランスが整っており、TRPG立ち絵・ビジュアルノベル・動画サムネイルなどにも最適です。 - 商用ライセンスへの対応(モデルによる)
公開されているバージョンや派生モデルによっては、商用利用が可能なライセンスが付与されています。必ず配布元でライセンス内容を確認してください。
現在、当サイトで制作している背景素材も、Animagine XLをベースとしたアニメ調の質感を活かしつつ、構図や空気感にこだわって仕上げています。
利用ソフト:ComfyUI、A1111Classic、CLIP STUDIO
ComfyUI
Stable Diffusionをノードベースで操作できる高機能UI。複雑な画像生成フローや高度な制御が視覚的に行えるのが特徴。
A1111Classic
AUTOMATIC1111のWebUIを改良した軽量・高速版。高い互換性と安定性を保ちながら、古い環境でも快適に動作する設計。
CLIP STUDIO
マンガやイラスト制作に特化した定番のペイントソフト。3D素材やアセットが豊富で、AI画像生成の下絵やレタッチに最適。
工夫している点
ただ美しいだけでなく「そのまま使える背景素材」を目指し、以下のような工夫を重ねています。
- 背景としての“機能美”を重視した設計
風景として目立つのではなく、キャラクターやテキストを引き立てる“舞台”として成立するよう、コントラストや彩度を抑えた設計にしています。 - 空気感を演出するタグ設計とプロンプト管理
光の差し込み、遠近感、色温度などを細やかに調整することで、「その場の空気」を感じられるような臨場感ある背景を生み出しています。 - 再現性のあるワークフローの構築
同じ構図・時間帯・雰囲気で複数のバリエーションを安定して出力できるよう、タグの組み合わせやControlNetの活用法を検証し、構築しています。 - 高解像度での一貫した出力
素材としての品質と統一感を保つため、すべて1920×1080pxで統一した背景素材を制作し、配布と実用のギャップをなくしています。 - ライセンスへの配慮とモデルの厳選
商用利用の可否が明確なモデルのみを使用し、配布時にも使用元モデルとライセンスを明記。利用者が安心して使える環境づくりを徹底しています。
試行錯誤と課題
背景素材の制作においては、モデルやプロンプトの選定だけでなく、一貫した出力品質を保つための細やかな調整が求められます。
当サイトで主に使用しているAnimagine XLは、比較的背景にも強いモデルとして知られていますが、あくまでキャラクター重視のモデル設計であるため、背景に関する学習が少なく、意図しない構図やノイズが出力されることも少なくありません。
また、屋内/屋外やシチュエーションごとに適切なライティングが異なるため、タグの使い回しが難しく、状況に応じて構成を調整する必要があります。
さらに、「朝」「昼」「夕方」「夜」といった時間帯ごとのバリエーションを作成する際には、タグ構成の違いが出力結果のばらつきに直結します。そのため、時間帯ごとに統一感のある背景を安定して生成するには、今後も継続的な検証と調整が不可欠です。
こうした課題と向き合いながらも、「背景として機能する美しさ」を追求する姿勢は変わりません。現在も改良を重ねながら、より実用的で安定感のある素材づくりに取り組んでいます。
ブランドに込めた想い

私が掲げるテーマは、「創作を支える」です。
創作活動には、表現したい世界観や伝えたい感情があります。けれど、その想いを形にするためのリソース――とりわけ“背景”は、時に大きなハードルになります。そこで私は、誰もが安心して使える高品質な背景素材を提供することで、創作のハードルを少しでも下げたいと考えました。
商用・非商用を問わず、安心して使える素材であること。これを実現するために、使用モデルやライセンス面での透明性に最大限の配慮を行っています。創作の現場で「この素材、大丈夫かな?」と不安になる瞬間をなくす。それが私の使命です。
また、単なる背景ではなく、“空気感”まで描き込むことにもこだわっています。時間の流れ、光の質感、空の色。そうした要素を丁寧に取り入れることで、背景に命が宿り、登場人物や物語がよりリアルに感じられるはずです。
「見た瞬間に世界観が伝わる」
「ただの背景ではなく、作品の一部になる」
そんな素材を届けたい。その一心で、日々、制作を続けています。
これからの展望
- 素材数の拡充(朝・昼・夜・季節ごとの展開)
- LoRAやモデルの開発・公開
- ブログ、note、BOOTHとの連携強化
まとめ|ブランドの裏側は挑戦の記録そのもの
ブランドは「一晩でできたもの」ではありません。一枚一枚の素材に込めた工夫や想いが、今の形を作り上げています。
今後も、制作の裏側を透明に公開しながら、より高品質な素材をお届けしてまいります。
よくある質問(FAQ)
Q. 使用しているAIモデルは何ですか?
A. 現在はAnimagine XLを使用しています。商用ライセンスに配慮しています。
Q. 商用利用はできますか?
A. 各素材ページで明示していますが、原則として商用利用可能です。